【農研機構】早生の西日本向けパン用小麦「はるみずき」を開発

小麦

 18日農研機構は早生の西日本向けパン用小麦「はるみずき」を発表した。はるみずきは西日本の主要パン用小麦「せときらら」よりもタンパク質含有量が多く製パン製に優れている。

 西日本地域では、パン用小麦品種「ニシノカオリ」や「ミナミノカオリ」に替わって、多収で製パン性に優れる「せときらら」の普及が進んできた。
 一般に小麦は、子実収量が多くなると子実のタンパク質含量が低下することが知られており、せときららも、子実の収量が増えるとタンパク質含有量が減るという課題を持っていた。更に、せときららは稈長(地面から穂首までの長さ)が高く台風などの強風で倒伏することもあり、生産の現場からは倒伏しにくくタンパク質含有量の多い品種の開発が求められていた。

 そこで農研機構は短稈の「ミナミノカオリ」と、日本めん用小麦「ふくほのか」に硬質性と製パン性を付与した準同質遺伝子系統を交配したF1にさらにこの準同質遺伝子系統を一回戻し交配して育成した「はるみずき」を開発した。

 「はるみずき」は「せときらら」より成熟期が2日早い早生品種で、稈長は短く倒伏に強く、子実のタンパク質含量が、「せときらら」より約1%高い値を示した。更に製パン試験では、「せときらら」より作業性に優れ、官能評価の外観と内相の評価点が高く、製パン性に優れている。

 今後、大分県で奨励品種に採用予定で、2018年播種から種子生産が開始されている。また大分県では2023年には800 haが「ミナミノカオリ」と「ニシノカオリ」から「はるみずき」に置き換わる予定となっている。

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