6日農研機構は高温耐性と耐倒伏性に優れた中生水稲新品種「にじのきらめき」を開発したと発表した。「コシヒカリ」並の極良食味で、15%程度多収となる。
近年、温暖化の進行に伴う登熟期間中の高温の影響で「コシヒカリ」に白未熟粒が発生し、品質が低下することが問題となっている。白未熟粒とは胚乳(白米として食べる部分)の一部または全部が白く濁ってしまった玄米のことを指す。登熟期の高温によりデンプンの蓄積が阻害されることが原因とされ、米の検査等級の下落や食味の低下の原因となっている。
日本で多く生産されている「コシヒカリ」も出穂後の高温により白未熟粒が発生しており、今後も温暖化が進むことを懸念し、高温下でも白未熟粒が発生しない品種の改良が求められている。
一方でより多くの生産量を確保するために、肥料を多く使用するが、多肥になると倒伏しやすくなるため、倒伏耐性をもち、かつ多収であることがポイントとなっている。
そこで農研機構では高温耐性に優れた「西南136号(後の「なつほのか」)」と、極良食味の「北陸223号」を交配し「にじのきらめき」を生産した。
出穂期は「コシヒカリ」とほぼ同じだが、成熟期は「コシヒカリ」より4日から5日程度遅くなる。そのため、数日ではあるが収穫時期をずらすこともできる。また、「コシヒカリ」が倒伏する多肥栽培でも30%弱多収となるため、生産量も確保できる。更に食味もよくこしひかりとほぼ同等となる。
縞葉枯病に抵抗性を持つため、今後は北陸だけでなく関東、東海以西でも栽培が可能で、北関東の群馬県を中心に普及の取り組みが進められる予定。温暖化が続く中で新しい主力品種となることが期待されている。
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