西日本向けの多収・低アミロース水稲新品種「さとのつき」

 農研機構は、多収で、米のアミロース含有率が低い水稲新品種「さとのつき」を育成したと発表した。アミノロースの含有量の少ない米は冷めても固くなりにくく、弁当や惣菜などの業務用米として期待される。さとのつきは「ヒノヒカリ」より成熟期が4日ほど遅く、耐倒伏性が強く縞枯病にも強い。

 近年、主食用米の約4割が中食・外食等の業務用向けに販売されており、業務用実需者のニーズに応じた多収・良食味品種への要望が高まっている。低アミロース米は、冷めても硬くなりにくい特徴があることから、チルド米飯やブレンド用など、業務用としての利用が期待されている。

 農業研究センター(現 農研機構次世代作物開発研究センター)で1995年に育成されたアミロース含有率が10%程度の「ミルキークイーン」は、東北から九州まで広く栽培されている。また、農研機構では「ミルキークイーン」の熟期を改変した「ミルキーサマー」、「ミルキーオータム」や、耐倒伏性や耐病性を改良した「姫ごのみ」等も育成している。しかしながら、業務用実需者等からは、より多収の低アミロース品種の育成が求められていた。

 そこで、”やや晩生”で耐倒伏性が強く、縞葉枯病に抵抗性があり、業務用に適した多収の低アミロース品種「さとのつき」を育成した。

さとのつきの特徴
①ミルキークイーン由来の低アミロース系統である「中系d2837」と、耐倒伏性の強い中間母本系統「関東PL12」の雑種第1代と、良質・良食味の「中国178号」を交配して育成した品種

②西日本で多く栽培されている「ヒノヒカリ」や、低アミロース品種の「姫ごのみ」と比較すると、育成地(広島県福山市)では出穂期はほぼ同じで、成熟期は4日ほど遅くなる。「ヒノヒカリ」と比較すると、稈長は5cmほど短く、穂長はやや長く、穂数は少なく、草型は”偏穂重型”。

③育成地における収量は、659kg/10aで、「ヒノヒカリ」と比較すると2割程度、低アミロース品種の「姫ごのみ」と比較すると1割程度多収。玄米千粒重は「ヒノヒカリ」、「姫ごのみ」よりやや重く、22g程度。玄米品質は「ヒノヒカリ」並で、「姫ごのみ」よりやや劣ります。玄米は、「姫ごのみ」と同様、やや白濁する。精米のアミロース含有率は、「ヒノヒカリ」より7%ほど低く、11%程度。

④炊飯米は、外観が優れ、粘りが強く、柔らかい特徴がある。また、混米により、食味を向上させる効果がある。

⑤耐倒伏性は強く、縞葉枯病には抵抗性を有する。また、トリケトン系4-HPPD阻害型除草剤には非感受性を示す。

⑥栽培適地は、西日本を中心とした地域

里を明るく照らす月のような品種になるよう願いをこめて、「さとのつき」と命名され、低アミロース米の特徴により、混米による食味向上効果があることなどから、中食や外食向けの業務用としての利用が見込まれており、中国地方での試作が始まっている。