農業効率を10倍UPするフリーエネルギー駆動「モバイル農業システム」を開発

システム

 ネイチャーダイン株式会社(本社所在地:東京都文京区 代表取締役社長 中島 啓一、以下:ND社)は、同社独自のフリーエネルギー駆動の自動野菜栽培システムSoBiC(Solar Pneumatic Bio Cycle System)を活用し、別次元の効率性で大規模な栽培生産にも対応できるSoBiC-PRO(ソビック プロ)を開発、今年の4月末から販売を開始すると発表した。

 SoBiCシステムは太陽の日射熱による気圧変化を動力にしたフリーエネルギー駆動の自動野菜栽培システムである。電気も機械も使わないシンプルな構造技術で、 天然培地に自然のリズムで水を自律循環させる事で植物の生育に最適な環境を自動的に創り出す仕組みである。
 2015年に基本システムが発明されて以降実用化が進められ、 2017年に家庭用単槽タイプ(1株栽培)の「オーガニックプランター」として製品化し販売を開始SoBiC-PROは、 家庭用の1株栽培ではなく、 複数株の栽培を可能にする横置き型カートリッジバッグ形状の大型培土カプセルを採用している。これを大規模生産にも対応できる簡易拡張型のパイプ型システムユニットにセットするだけで栽培生産ができ、 より効率的な栽培が可能になる構造である。

 設置は陽の当たる場所に置き、一般的な水道ホースを繋いで、培養土を入れたカートリッジバッグをセットし、種または苗を植える(トマトであれば3~4株/ユニット)だけで、 ほぼ放ったらかしでも非常に良く生育する。枝支えや受粉補助、簡単な水位の調節や肥料の添加をしてあげるなど、手をかければその分収穫量も質も格段に向上させる事もできる。 収穫が終われば、 カートリッジバッグを入れ換えるだけで、すぐに次の作物栽培が開始できる。従来のような、土作りや耕耘、雑草駆除、水やり、 土壌改良など、 重労働で技術と経験が要求されるような事が一切なくなる。

 ベースユニットは、 簡単に拡張が可能で、 スペースさえあれば需要に応じていくらでも柔軟に拡張できる。これまでの農業生産スタイルで大規模な生産を目指すと、 広い農地の確保から始まり、 広さに応じて農地の整備やそれなりの器具・設備が必要になるなど高額な投資が必要で、 ビジネス的には非常に大きなリスクを背負う事になっていた。SoBiC-PROを利用すれば、 タダ同然の余っている土地や小さなスペースから始められ、 需要に応じて柔軟に拡張できるので、 従来までの事業リスクを劇的に抑制する事ができ、 誰でも、 どこでも、 簡単に、 生産を始める事ができる。

「農地不要」が最大のメリット
 今まで、 当たり前過ぎてあまり注目されてこなかったが、 農業経営において「農地の取得」と「農地の整備や維持管理」に関わる経費が最大の負担で、 支出の40%以上を占めている(下記農水省発表データ参照)。  農業免許を取得して安く農地を手に入れても、 整地や土壌改良、 土留費などがかかる場合、 最大で1m2あたり6万円以上もかかる(田んぼ1反分だと6千万円になる)。  また、 広い農地ほど設備投資や運用管理費が相乗的に大きくなり、 経営を圧迫する最大要因になる。  農業技術の進化で、 仮に収穫量の向上や農業資材の節約または労賃を10~20%改善できても、 それだけではあまり経営効率化には寄与できないのが実情である。  植物工場や水耕栽培の場合も農地は不要にはなりますが、 それ以上に設備コストや電力、 技術コストがかかり、 生産できる作物もかなり限定されるので、 抜本的な効率化には限界がある。  SoBiCはこれら最大の負担を削減することができる。

グラフ

農業生産効率を10倍UP!
 SoBiC-PROを活用する事で、 農地に関わる支出の殆どを削減でき、 設備コストもかからず、 ビジネスとしての生産効率は飛躍的に向上できる。 その他の肥料や農薬などの農業資材費、 農機具、 雇用労務に関するコストも半分以下に削減する事も可能である。それら様々なコストを劇的に削減するだけで無く、 単位面積当たりの収穫量も飛躍的に向上できる。例えば、 平成26年に農水省が発表したトマトの作付面積あたりの収穫量は約6kg/m2で、 1個100gと計算すると1m2あたり約60個ほどだが、 SoBiCで普通に栽培できた場合1m2当たり300個以上の収穫が見込める。また、カートリッジバックの設置と交換によって作付けが簡単にできるので、 作付け回数を増やす事ができ、 土壌改良の必要もなく、 休耕期間による損失も大幅に削減できるなど、 生産の根本基盤から相乗的に効率化ができる。

 SoBiCでの栽培は「自然の力」と「自然の摂理」による生育環境にあるので、 「究極の有機栽培」と言っても過言ではない。 「有機作物」は、 生産性の問題で市場では通常より3割ほど高値で売られていますが、 それよりも圧倒的に安く簡単に作れる事にもなる。 その他、 渇水や大雨による田畑の冠水被害などに対して、 SoBiCはそれら天候不順などによる影響も受けにくい為、 農業経営の根本的なリスクを抜本的に軽減できる。
これら、 従来と比較すると10%や20%を効率化すると言うレベルではなく、 根本的なレベルから何倍にも効率化する側面が多分にある事から、 全体効率としてはまさに桁違い(10倍以上)の効率化が見込める。

農業の構造的な自由化を実現
 SoBiC-PROは、 農地が不要になるだけでなく、 設備コストの負担を無くし、 高度な技術や経験も不要で労働負荷も事業リスクも劇的に削減できる。 つまり、 従来までの非常に重い呪縛のような大きな負担から解放される如く、 自由な栽培生産スタイルを実現できるようになる。 また、 電気も燃料も使わず、 水を節約して、 食糧を自動で作ってくれるシステムなので、 自然環境に負荷をかけず、 経済的にも環境的にも好循環をもたらし、 人間社会に豊かさを創り出してくれる仕組みである。

様々な社会貢献に寄与
寄与するポイント

・食料自給率の改善への基盤になる
農業人口の高齢化や減少により日本の食料自給率は悪化の一途を辿っていますが、 その根本原因は「農地の確保と維持が大変」「設備投資が高額」「長年の経験と技術が必要」「事業リスクが高い」など、 需要はあってもビジネスとしては収益を出し難く、 新規参入も非常に難しい。 SoBiCを利用すれば、 これらを抜本的に解決できる。
・経済復興と環境改善の両立
昨今では工業技術の進化による経済発展は様々な面で限界を迎えており、 農業など第一次産業レベル(産業の基盤)からの新たな成長産業の創出が社会維持の為に求められている。 SoBiCを活用すれば、 都市農業などの新たな産業スタイルを簡易に生み出す事も可能で、 膨大な食糧需要に対し輸入に頼らず自らが生産できるようになる。  また、 それによって都市でも緑化が進み、 全体として社会環境改善の好循環が生まれる。
・少子高齢化社会の福祉負担の軽減
SoBiCを活用すれば、 重労働も技術も不要なので、 高齢者や障害を持つ方に対しても非常に健康的で生産性の高い仕事を提供する事ができる。
・食の安全の確保と安定供給の基盤に
昨今では、 食の安全が強く意識されるようになってきており、 欧米ではオーガニック需要が年々高まっている。  ただ、 オーガニック作物は生産性が良くない事から値段が高く、 日本の一般的な市場には出回っておらず、 消費者は選択の余地がないのが現状である。 SoBiCを活用すれば、 簡単に自分で作れるなど、 様々な選択肢を増やす事が可能になる。
・気象変動による農業リスクの回避
温暖化などの気象変動によって、 気温の劇的な変化や、 農地や水瓶には雨が降らず、 都市部に洪水レベルの大雨が降る傾向にあり、 地球規模で水の循環システムが著しく変化してきている。 その為に農地が急速に狭まってきており、 新たな農地の開発が急務となっている。 SoBiCを利用すれば、 都市でも、 砂漠でも、 温暖で陽の当たる場所があればどこでも農地として利用できるようになる。
・近い将来に訪れる世界的な食糧危機に対する抜本的な解決ソリューションとして
現在73億の人口は30年後には100億人を超える勢いで増え続けている。  それに相反して、 温暖化や汚染などで環境は悪化の一途を辿り、 生態系のバランスは崩れ、 エネルギーや水資源は圧倒的に不足し、 20年以内に深刻な食糧危機が訪れると言われている。  SoBiCを活用すれば、 燃料エネルギーに依存せず、 同じ量の水で10倍の農作物の生産が可能になるので、 持続可能社会の構築へ抜本的なソリューションに成り得る。

既存業界との協調が課題
昨今では農業にA.I.やIoTなどハイテクを導入するトレンドが活発化し、 これまでの農業技術に別分野の技術と融合しながら高度化・複雑化を重ね、 それをペイさせる為に大規模化による効率化が図られるスタイルが主流になっている。  これに対し、 SoBiCは自然科学に基づいた極めてシンプルな原理原則による最適化をしており、 ハイテクなどの複雑な技術要素を使わない事で、 小規模でもペイできる効率化を図っている。  つまり効率化への取り組みがまったく逆のアプローチになっていて、 導入要件や価値観も真逆で、 現状の業界構造では利害が相反する部分があるなど協調や理解がされ難い側面が多分にある。  また既に広い農地や高度な設備を持っている生産者など、 従来基盤の上では劇的な効率化には直結しないので積極的な導入の意向は高まらない事などが普及の課題となっている。
しかし、 近年の異常気象の連続や天候不良によって野菜が高騰している事や、 生産者の高齢化問題や新規参入が少ないなどで、 需要に対する生産力が著しく不足している状況では、 誰でも簡単に扱えて、 都市農業などの新しい生産スタイルを生み出せるSoBiCのようなシステムの需要は膨大にあると言える。 ND社としてはそれらの新しい生産スタイルを創って行く事で、 最終的には広く普及して行く事を目指している。