「日本の種子(たね)を守る会」発足・JAと生協が連携

種を植える

3日JAと生協が連携し「日本の種子(たね)を守る会(以降、守る会)」が発足した。
主要農作物種子法が平成30年4月に廃止されることを受けて、公共財産である種子の安定供給を守ることを趣旨に発足し、会長には茨城県JA水戸の八木岡努組合長が就任する。守る会は種子法が廃止後も種子政策維持や予算措置を求めて、新法の制定を視野に入れる。

 種子法とは1952年5月に米、麦等の主要な農作物の種子を生産、普及することを目的に制定され、この制度の下、都道府県は研究体制を整えその地域にある品種(奨励品種)を研究開発し、各JAや普及センターが種子を供給してきた。
 この制度の背景には戦中から戦後にかけて食糧難を経験した日本が食糧の安定供給には種子の安定供給が重要であるとし、この法律が制定されたとされている。種子法により今まで多くの種子が開発され供給されてきた。

 一方で種子の開発研究費や生産コストが国の財源で賄われていることから、民間企業の種子開発への参入障壁が高くなり、各都道府県と民間企業の競争関係が対等でないということが指摘されていた。米の普及品種のうち約83%は国または都道府県が開発したもので、民間企業が開発したものは約12%にとどまっている。
 また、農業のグローバル化が進む中民間企業のノウハウも活用し品種改良をより強化することを目的に政府は平成30年4月に種子法を廃止することを決定した。

 種子法が廃止されることにより国内外の民間企業の種子開発への参入障壁が下がり今のニーズに応える新しい品種が開発・流通することが期待される。

 一方で今までの種子の開発、供給には国の公的な資金が利用されてきたが、今後種子法が廃止されることで種子の価格が上がり食品価格も上がる可能性があるという不安の声も上がっている。

このような背景を受けてJAと生協が連携し守る会が発足した。

 守る会では種子法廃止後も種子行政の継続ついて、予算措置も含めた各都道府県への働きかけや新法制度に向けた政府への働きかけを行っていく。

 守る会には茨城県JA水戸の八木岡努組合長の他に役員として副会長に加藤好一・生活クラブ生協連合会会長、萬代宣雄・島根県JAしまね前組合長、幹事長に山本伸司・パルシステム生協連合会顧問が決まった。

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