伊吹そばなど4品が地理的表示(GI)に登録

農林水産省は、9日、「比婆牛」、「豊島タチウオ」、「伊吹そば」及び「今金男しゃく」を地理的表示(GI)として、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)に基づき、登録(登録番号第83号から第86号)したと発表した。

 地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。日本では平成27年6月1日「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が施行され、「地域ブランド産品」の品質を評価し、産品の名称である「地理的表示」を知的財産として保護していくことを定めた。知的財産を保護することを目的にしながら、有機JASやGAP認証など、県外や海外へのPR効果も期待される。
地理的表示(GI)保護制度 GIマークとは

比婆牛
日本最古の蔓牛(多くの牛の中から優良牛を選び出して造成した系統牛)のひとつである「岩倉蔓」の血統を有する黒毛和牛の牛肉。不飽和脂肪酸割合について遺伝的に高い能力を持っているため、「比婆牛」の肉質は口どけがよく、やわらかい舌触りが特徴。庄原市で古くから人々の生活に密接にかかわってきた、和牛の中で優秀なものから作出された「岩倉蔓」が起源。同地域では、「岩倉蔓」を受け継ぎ改良して「あづま蔓」が造成され、「第38の1岩田」といった優秀な和牛が誕生。その維持に取り組んでいる。

豊島タチウオ
 豊島の漁師に受け継がれてきた一本釣り漁法、鮮度保持技術により、傷のない美しい外観、高い鮮度を有しているタチウオ。その見た目の美しさ、鮮度の良さが市場から高く評価されている。豊島沖は緩急に富んだ潮の流れがありイカナゴなどの小魚が集まる好漁場となっている。さらに、代々受け継がれてきた一本釣り漁法がタチウオ釣りに活かされており、釣り上げた後、選別・氷をかけて活け締めする行程を全て船上で完結させる鮮度保持の徹底により、美しい外観、高い鮮度のタチウオを出荷できている。

伊吹そば
 伊吹山中腹で栽培されてきた在来種で主に直径4.5mm以下の小粒なそば。甘皮(種皮)の部分が多く、それに由来する緑の色調や香りが強く出る。また、うま味と甘みは他の優良品種と比べても遜色がなく、製粉業者やそば店から高く評価されている。元来の生産地のある姉川上流域は、斜面地で水はけが良く、周囲を山に囲まれ他品種との交雑が生じにくい環境であり、また、米原市は、水はけの良い扇状地上や黒ボク土の圃場を擁し、そば栽培に適する。姉川上流域を通常の採種場とすることにより、在来種を保全しつつ安定した生産を確保する体制を確立し、それより下流の米原市内へと生産域を拡大した。

今金男しゃく
 白色で美しい外観を有しライマン価13.5%以上の安定した品質とホクホクとした自然にとける舌触りが特徴の男爵品種の馬鈴薯。厳しい選果基準を設け、形状や外観が良いことから、市場では品質、食味ともにトップクラスと評価されている。内陸性気候で昼夜の寒暖差が大きく、水はけが良い肥沃な火山灰地の土壌が馬鈴薯の栽培に適している。1953年から男爵品種のみを作付けし、1967年より種子馬鈴薯農家を区別するなど、地域で品質向上に長年取り組んできた。

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