【新品種】農研機構がイネ発酵粗飼料(WCS)の新品種「つきことか」を発表

稲刈りの様子

 農研機構は1日イネ発酵粗飼料(WCS)の新品種「つきことか」を発表した。「つきことか」は茎葉収量がWCS用従来品種の「たちすずか」よりも2〜3割収量が多く、植栽培でも籾の割合が増えず茎葉部を多く収穫できるのが特長。たちすずか」と同様に糖含有率が高く、良質なWCSが生産できる。

 牛の飼料として用いられるイネWCSは、水田を有効活用できるイネの利用法として注目されている。WCSとはホールクロップ・サイレージの略で、子実だけでなく、茎や葉も一緒に収穫し乳酸発酵させた牛の飼料のことを指す。
 近年ライフスタイルの変化もあり、米の消費量が減少している一方で、国産飼料を生産し、飼料米の生産量は年々増加している。平成26年には国内の飼料用米生産量は18万トンであったが平成30年には倍以上の42万トンにまで増加している。これは国内自給率改善を図るという農水省の取り組みや助成、多収量な新品種の改良などが大きく影響している。

 また従来の食用米用のイネは牛の飼料として利用されてきたが、通常のイネは牛にとって消化が悪い籾が多く、サイレージ調製に必要な糖が少ないという課題があった。
 そこで農研機構は2010年に、穂に比べて茎葉の割合がきわめて大きく、糖含有率が高いWCS用品種として「たちすずか」を育成し、さらに2016年には「たちすずか」に縞葉枯病抵抗性を付与した「つきすずか」を育成した。両品種はイネWCS用品種として関東以西の広い地域で普及が進んでいる。

 そのような背景もあり、イネWCSに用いられる新しい品種の研究開発が盛んに行われており、今回農水省は「つきことか」を開発した。「つきことか」は「ホシアオバ」に由来する極短穂突然変異体系統「05多予II-15」と地上部乾物重が多収の「中国飼189号」を交配して育成した品種であり、普通期移植栽培での地上部乾物重は2,125kg/10aで、「たちすずか」より19%多収。全体に占める籾の重さの割合(籾重割合:従来型の品種「タチアオバ」は35~40%程度)は「たちすずか」の7.9%に対して1.6%と少なく、消化性が優れる茎葉部乾物重は27%多収となる。糖含有率は15.6%であり、「たちすずか」の17.0%と同様に高く、良好な発酵も期待ができる。更に晩植栽培では籾重割合が「たちすずか」の16.0%に対して2.5%と少なく、茎葉部乾物重は「たちすずか」より22%多収である。
 縞葉枯病に抵抗性で、縞葉枯病が発生しやすい地域でも栽培できる。葉いもち病抵抗性が弱いので、常発地帯での栽培は避け、防除を励行する必要はある。

 名前の由来は「つきすずか」と同様に縞葉枯病抵抗性が付いていること、9月下旬から10月にかけて出穂することから、”ここのつ-とお”の頭文字を取り命名された。
 今後は「つきことか」は、晩植栽培で「たちすずか」の籾重割合が増えてしまう暖地・温暖地における稲麦二毛作地帯への普及が見込まれる。また、「たちすずか」または「つきすずか」と組み合わせて作付けすることで、移植時期の拡大や収穫作業の分散ができ、良質な飼料の増産が図れる。
 トウモロコシのような長稈作物に対応した収穫機を保有する法人等での規模拡大や収益向上も期待されている。

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