越前がになど新たに3品が地理的表示(GI)に登録

越前ガニ

27日農水省はくまもとあか牛、二子さといも、越前がにを新たに地理的表示(GI)に登録したと発表した。カニの登録は全国はじめての事例となる。

 地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。日本では平成27年6月1日「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が施行され、「地域ブランド産品」の品質を評価し、産品の名称である「地理的表示」を知的財産として保護していくことを定めた。知的財産を保護することを目的にしながら、有機JASやGAP認証など、県外や海外へのPR効果も期待される。

くまもとあか牛
 肉質は赤身が多く適度な脂肪交雑。赤身の特徴的なあっさりした味わいとやわらかさ、ヘルシーさを兼ね備えている。黒毛和種に比べてうま味を感じさせる遊離アミノ酸が多く、甘味を呈するグリコーゲンも豊富。熊本系の褐毛和種は、熊本県の在来牛にスイスのシンメンタール種等を交配させて改良し、昭和19年に高知系の褐毛和種、黒毛和種等とともに和牛の品種として成立。阿蘇地域を中心とする牧野への適応を考慮し、脂肪交雑に特化した改良ではなく、足腰の強さや粗飼料の利用性を活かした改良を行うことで、赤身が多い肉質となった。

二子さといも
 味が濃く、食感は滑らか。柔らかいが強い粘り気があり、煮崩れしない。粒ぞろいが良く大玉。生産地は、北上川の氾濫によって形成された水はけが良く肥沃な土壌で耕土も深いことから、根を張るさといもの栽培に適している。貯蔵が難しい種芋を保存技術を伝承するとともに、種芋の保存に失敗した場合には、生産者がお互いに種芋を融通する習慣が古くから定着。先祖から受け継いだ技術と種芋を地域全体で守り続けている。

越前がに
 漁獲獲後水揚げまでの間、冷温で保管されるため、鮮度が良く、身質が良く、鮮度低下の早いカニミソや内子(卵巣)も濃厚な旨味を持ち、品質が高いずわいがに。福井県により90年以上にわたり皇室に特産品として献上され、同県を代表する水産物として全国的に高い知名度を有し、重量当たりの単価は全国平均を上回っている。越前海岸沖の急深な地形によって沿岸から近距離にずわいがにの好漁場が形成されたため、古くからずわいがにの産地として知られている。ずわいがにの取引の経験を豊富に有する、いわゆる「目利きの力」のある流通業者が満足する品質のずわいがにを安定して水揚げする必要があったことから、漁獲後の船上での選別作業や鮮度維持のための冷温保管が徹底されている。

▶関連記事
2018.08.07
南郷トマトなど新たに4品が地理的表示(GI)に登録