農研機構が市販のドローンを使用し農地の凹凸を測定するマニュアルを公開

ドローン

 4月25日、農研機構は市販のドローンを使用し農地内の凹凸を即適できるマニュアルを公開した。従来の測定方法では航空機を使用して測定をしていたが、数十haまで市販のドローンを使用しより安価に早く測定が可能となる。

 熊本での震災により熊本県全体への農業被害も甚大なものであり、農地内に生じた凹凸により作物が栽培できなくなるケースも生じていた。そこで農研機構ではドローンの普及にも合わせ、市販のドローンを用いて農地内の凹凸を測定できる仕組みを研究開発してきた。
 今回農研機構の公開したマニュアルではドローンで撮影した複数枚の画像から対象物の3次元形状を復元する技術SfM(Structure from Motion)が用いられている。SfMとは画像に映った同じ対象物の見え方の違いから、形状とカメラの位置・方向を同時に推定する手法で、このデータを用いることで3次元形状が得られる。より噛み砕いて説明すると、ドローンからの画像情報より平面的な広がりだけでなく、そこに高さ情報を加えることでその農地内にどれだけの凹凸がどれだけあるのかを確認することができる。
 今までこれら情報を得るために航空機の手配しレーザー測定をするというコストを必要として、特に数haなど広くない農地では割高になっており導入が実現的ではなかった。しかし今回農研機構の公開マニュアルでは、安価なドローン(約10~20万円)と市販ソフトウェア(Agisoft Photoscan Professional;約50万円)、無料ソフトウェア(QGIS)、数万円の簡易測量機器のみの導入、農地内の凹凸測定が可能となる。
 今回のマニュアルでは従来の航空機を使用した場合の結果と有意な差はなく、すなわち市販のドローンを使用した測定方法が従来の結果と差がないことが証明された。

 自治体や団体内での共用利用などにより、今後精密農業の推進や熊本地震のような災害からの復興に役立つことなどが期待されている。

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