農研機構 稲・野菜二毛作地域に適する 早生・多収の水稲新品種「歓喜の風」を開発

稲穂

 19日農研機構は多収で玄米品質が優れる早生の水稲新品種「歓喜の風」を開発したと発表した。「歓喜の風」は「キヌヒカリ」より、10%多収で、高温でも玄米の品質低下が少なく、食味が優れ早生のため、関東以西で冬春野菜の後作として栽培が期待される。

 関東より西では冬から春に野菜を生産し、そこから稲作を行う二毛作が盛んに行われており、特に早生品種である「キヌヒカリ」が多く栽培されている。しかし近年の地球温暖化の影響もあり、玄米の外観品質の低下(白未熟粒の増加など)が増加しており、高温に強く、冬春野菜のあとに生産できる早生品種の開発が求められていた。

 そこで、農研機構は耐倒伏性の「ふくいずみ」と極早生で多収かつ玄米外観品質が優れる「越南208号(後の「あきさかり」)」を交配し「歓喜の風」を開発した。歓喜の風は倒伏しにくく、冬春野菜の生産に使用した肥料が残る多肥条件下でも栽培が可能となる。また、標準施肥栽培ではキヌヒカリよりも9%多収で、多肥条件下では14%多収となる。
 玄米の外観品質はキヌヒカリよりやや優れ、高温であった2016年ではキヌヒカリよりも外的品質は優れていた。炊いた時の食味はキヌヒカリよりもやや優れ、コシヒカリ、ヒノヒカリに近い食味となる。

 静岡県の一部では出穂期がキヌヒカリより数日遅い程度でレタスとの二毛作も可能で、今後野菜と米の複合経営に適した新品種として拡大が期待される。

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