農水省は平成28年度ワタの生育実態等調査結果を発表

ワタ

 29日農水省は、平成28年度のワタの生育実態調査結果を発表した。今回の調査では加工施設の敷地の周辺で1個体が生育が確認されたが、自生しているものではないと結論付けた。農水省は平成26年より遺伝子組換えワタによる生物多様性への影響を評価する際に活用する情報の充実を図るため飼料用や製油用に輸入されたワタの種子の流通時のこぼれ落ちに由来すると考えられる個体の生育実態等の調査を行っている。

 日本では、遺伝子組換え農作物等について、その系統ごとにカルタヘナ法等に基づき、食品や飼料としての安全性及び生物多様性への影響について科学的な評価を行っている。この評価により問題がないと判断された場合に初めて、食品や飼料としての使用、栽培、加工、保管、運搬、廃棄等を承認している。
 これまでに承認された遺伝子組換え農作物については、現在、バラを除き国内での商業栽培は行われてないが、飼料用や製油用、加工食品の原料として、こぼれ落ちた際に発芽可能な種子の形態で、セイヨウナタネ、ダイズ、トウモロコシ及びワタが大量に輸入されている。そこで農水省では、承認した遺伝子組換え農作物により生物多様性への影響が生じていないかを確認するため、また、遺伝子組換え農作物による生物多様性への影響を評価する際に活用する情報の充実を図るため、流通時にこぼれ落ちた種子に由来すると考えられる個体の生育状況等を調査している。

カタルナ法とは
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律
の別称
2000(平成12)年1月に、生物多様性条約特別締約国会議再開会合において「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」が採択され、2003(平成15)年6月に締結。この議定書を日本で実施するため、2003(平成15)年6月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」が公布され、カルタヘナ議定書が日本に効力を生じる2004(平成16)年2月に施行。
 カルタヘナ法では、遺伝子組換え生物等を用いて行うあらゆる行為のことを「使用等」とし、使用形態に応じて「第一種使用等」と「第二種使用等」とに分け、それぞれの使用に応じて、とるべき措置を定めている。

調査の結果
 ワタの個体は、7施設中1施設(当該1施設には、ワタの種子はバルク車で運搬)の敷地の周辺で1個体が生育。生育地点では、平成26年度及び平成27年度にはワタは生育していなかったことから、生育していた個体は、施設の敷地内から逸出した種子又はバルク車での運搬中にこぼれ落ちた種子が発芽・生育したものであり、自生しているものではないと結論付けられた。
 今回自生している個体は確認できなかったものの今後も農水省として調査を継続していく。

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