上庄さといもなど新たに6種類が地理的表示(GI)に登録

上庄サトイモ

10日農水省は上庄さといもなど、新たに6種類の農林水産物・食品に対して地理的表示(GI)に登録したと発表した。今回登録された6種は福井県の上庄さといも、若狭小浜小鯛ささ漬、沖縄県の琉球もろみ酢、鹿児島県の桜島小みかん、岩手県の岩手野田村荒海ホタテ、岐阜県の奥飛騨山之村寒干し大根。沖縄県、岐阜県では初の登録となった。

 地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。日本では平成27年6月1日「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が施行され、「地域ブランド産品」の品質を評価し、産品の名称である「地理的表示」を知的財産として保護していくことを定めた。知的財産を保護することを目的にしながら、有機JASやGAP認証など、県外や海外へのPR効果も期待される。

上庄さといも(福井県)
 在来系統の「大野在来」と呼ばれるサトイモで、肉質が非常に緻密で固くしまっており、煮くずれしにくく、食べるともちもちとした独特の歯触りを持つ。福井県大野市上庄地区は盆地特有の気候であり、昼夜の温度差が大きいため、デンプンが蓄積しやすく、より煮崩れしにくいサトイモとなる。真名川や九頭竜川など豊富な河川水により、夏に必要な灌漑が容易。地区内のどのほ場もサトイモ生産に適した土壌。

琉球もろみ酢(沖縄県)
 琉球泡盛のもろみ粕を原料とする非発泡性飲料。琥珀色で酸味があるが、主な酸味成分がクエン酸であるため、鼻にツンとくる刺激や酢酸臭がなく飲みやすい。沖縄は温暖で湿潤な亜熱帯性気候で、酒造にあたり通常の生産方法では醸造途中で雑菌が増殖するリスクが高いため、伝統的に黒麹菌を用いた酒(泡盛)が製造されてきた。「全麹仕込み」により泡盛が製造される際に得られるクエン酸が多量に溶解した琉球もろみ粕を原料として使用している。

桜島小みかん(鹿児島県)
 果実は極めて小さいが、果肉は柔らかく多汁で、甘さと酸味のバランスがとれ食味が良いみかん。果皮には、柑橘系特有の爽やかな香気がある。鹿児島市桜島は周囲を海に囲まれ年間を通して温暖で日照条件にも恵まれており、温州みかんと系統が異なる「小みかん」が島の重要な商品作物として古くから栽培されてきた。屋根掛けハウスの下で水分管理を適切に行うことにより、サイズの揃いの良い果実を生産し、現在も地域の特産品となっている。

岩手野田村荒海ホタテ(岩手県)
 プランクトンが豊富で自由に泳ぎ回れる環境下で養殖されたホタテガイ。身は肉厚で旨味が濃く、貝柱は繊維がしっかりとして弾力がある。貝殻は表面に付着した生物が丁寧に除去されているため美しい。岩手県野田村野田湾は三陸沿岸の湾の中でも開放性が高く、波浪等の影響を受けやすいが、潮通しが良く、水質がきれいで、プランクトンが豊富なため、ホタテガイの飼育環境が良好。栄養素が豊富でホタテガイが自由に泳ぎ回れる環境を維持するため、カゴ養殖等を行うことで良質なホタテガイを生産される。

奥飛騨山之村寒干し大根(岐阜県)
 山之村地区で、冬場の保存食として伝統的に作られてきた輪切りで厚みのある寒干し大根。アメ色で煮物などにすると独特の甘みとコリッとした歯応えのある食感。山之村地区は標高約1000mにある豪雪地帯で、厳冬期にはマイナス20℃以下になることもあり、1ヶ月以上寒風干しを行う「奥飛騨山之村寒干し大根」作りに最適。冬場は2mに及ぶ積雪に覆われ、寒風干し中に土埃などの付着を防ぎ、高品質な寒干し大根の生産ができる。手作業を中心とした伝統的な製法が引き継がれている。

今回登録された一覧
新たにGI登録された品

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