20日農研機構は農業水路における魚の棲みやすさ評価プログラムを開発したと発表した。魚にとって棲みやすい水路を作るための簡便な改善方法をまとめた評価マニュアルは農業水路周辺の生態系・環境保全活動に役立つものである。
2001年の土地改良法の改正では、基盤整備が環境にもたらす影響を考慮し、事業を行う際には生態系保全も含め、「環境との調和に配慮」することが原則化されている。このことを受けて、各地で魚類等の生息環境に適した水路区間が創出されるようになってきた。しかし、魚類の調査方法などのマニュアルがなく、水路の改善方法などが確立していなかった。そこで今の水路における魚類の棲みやすさを評価するプログラムの必要性が求められていた。
今回開発された評価プログラムでは農業水路の「魚類の棲みやすさ」を、
1.評価対象の水路区間の選定
2.魚類調査
3.環境調査
4.評価スコアの計算
という4ステップで評価する。そこから魚類の種類や個体数などを調査し、計算ソフトに入力することで1〜5の5段階評価で表示される。
この評価システムは専門家による詳細な採捕調査と環境調査を繰り返し行う必要はなく、魚類採捕は初回に行うだけで、その後は環境調査のみの結果から魚の棲みやすさの経年的な変化も容易にモニタリングが可能となる。
今後の田畑の生物多様性や、周辺環境の指標となるような研究である。