【新品種】米麺に適した多収の高アミロース水稲新品種「亜細亜のかおり」

稲穂

 6日農研機構は米麺に適した新品種「亜細亜のかおり」を発表した。今までの米麺に使用されていた主要な米である「越のかおり」はコシヒカリと収穫タイミングが重なること、またコシヒカリよりもやや収量が重なることから、コシヒカリと収穫時期が異なり、また多く収穫できる品種の開発が求められていた。
 亜細亜のかおりは従来の主力品種越のかおりよりも20%多収で、コシヒカリよりも2週間程度晩成となり、作期分散が可能となり、今後期待が寄せられている。

 現在、米粉用米などの新規需要米の作付けが推進されており、米粉パンや米麺などの普及が広がりつつある。米粉需要は2011年をピーク一旦減少したものの近年またその人気が伸びており、2017年には約3万トンの米粉が生産されている。また健康志向やグルテンフリー需要の高まりもあり、米粉を使用したパンやお菓子、そして米麺などが多く生産されるようになっている。

 米麺の原料には「コシヒカリ」などではなくア高アミロース米が適するとされている。アミロースはデンプンを構成する成分で、アミロース含有量が低い米のほうがモチモチとした食感に炊けるとされており、コシヒカリはやアミロース含有率が14〜16%程度となっており、アミロース含有率が低いミルキークイーンは10〜15%程度とされている。
 米麺のように麺に加工する場合にはアミロース含有率が高いほうが向いているとされ、今まではアミロース含有率が30%程度の高アミロース米「越のかおり」が主流であった。しかし、越のかおりは炊飯用の主力米コシヒカリと収穫時期が被ること、収量もコシヒカリに劣ることから、多収でコシヒカリと収穫時期が異なる品種の開発が求められていた。

 そこで農研機構では、収量性に優れた「関東239号(後の「やまだわら」)」と、高アミロース含量の「北陸207号(後の「越のかおり」)」を交配し新品種の「亜細亜のかおり」を開発した。
 亜細亜のかおりはアミロース含有率が32%と米麺の製造に向いており、また、収量も今までの主流品種越のかおりよりも20%程度多い。更にコシヒカリとも収穫時期が異なるため、作期分散が可能となる。亜細亜のかおりの栽培適地は、北陸から東海、関東以西で、現在新潟県妙高市で生産が栽培が開始されているが今後更に拡大をしていく予定という。亜細亜のかおりは東南アジアで広く食べられている米麺が日本にも広まることを願って命名されたという。

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