6日農水省はヤマダイかんしょなど新たに、4品目を地理的表示(GI)に登録したと発表した。今回、福島県の南郷トマトが登録され、福島県では初の事例となる。
地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。日本では平成27年6月1日「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」が施行され、「地域ブランド産品」の品質を評価し、産品の名称である「地理的表示」を知的財産として保護していくことを定めた。知的財産を保護することを目的にしながら、有機JASやGAP認証など、県外や海外へのPR効果も期待される。
南郷トマト
食味等の品質が良好で安定している夏秋トマト。京浜地区の青果市場で夏秋トマトの取扱量の上位を占める福島県産の中でも平均価格が1割程度高い。高品質トマトの生産等が高い評価。生産地は、昼夜の気温差が大きく、涼しいといった夏秋トマトの栽培に好適な自然条件。雨除け栽培や共同選果体制の確立、雪室予冷庫の整備など生産地の長年にわたる組織的取組が、トマトの食味などの品質の安定・向上につながっている。40年以上にわたり年間2千tを超える生産を継続。
ヤマダイかんしょ
加熱すると快いもろさのあるホクホクとした食感と上品な甘さ。鮮やかな紅色。丁寧なひげ根の処理による美しい外観。宮崎県の最南端に位置し、温暖で日照時間が長いことに加え、水はけの良い火山灰地を有したさつまいもの栽培適地。周年出荷のための独自の越冬貯蔵方法を確立したほか、厳格な選別の実施等に昭和40年代から取り組み、全国有数の青果用かんしょ産地へ成長。近年は、輸出にも取り組んでいる。
岩出山凍り豆腐
色が白く肌理が整っており、弾力に富んだ硬めの歯触りと滑らかな舌触りを有している。独自の製法により雑味が少なく、大豆の風味が豊かで、煮崩れせずに形が整ったまま出汁がよく染み込む。郷土料理に欠かせない伝統的な具材として重宝されている。生産地は奥羽山脈の東側にあり、乾いた厳しい寒さにさらされるが、周囲の町に比べて雪が少なく、風もそれほど強くないことから、湿気や強風を嫌う凍り豆腐造りに適している。明治期の記録にも残る地域の伝統産業(最盛期:昭和35年に86戸)。現在、5戸の生産者により、年間およそ10万袋(20枚入り換算)を生産。
岩手木炭
炭質が硬く火持ちが良い。炭素割合は概ね90%(全国規格75%以上)と高く、燃焼時の煙や炎、臭いが最小限に抑えられ、燃焼後に残る灰も少ない。その品質は高く評価され、平成18年度から参加している農林水産祭において、農林水産大臣賞や林野庁長官賞を現在に至るまで毎年受賞。岩手県は、森林資源が豊富。特に、「ナラ」等の広葉樹が多く、古くから木炭の生産が盛んで、大正元年には、木炭生産量日本一の地位を確立。その後も、昭和30年代に、「岩手窯」「岩手大量窯」を独自に開発にするなど、地域で木炭産業を守っている。
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