8日イリノイ大学においてミツバチについての興味深い記事が発表された。
記事タイトル
Agricultural fungicide attracts honey bees(農業用殺菌剤はミツバチを引きつける)
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/01/180108121053.htm
記事によると以下のように書かれていた。
殺菌剤はミツバチの農薬や化合物質に対する代謝能力を阻害することが広く知られており、自然界のミツバチは有害な物質(農薬等)を検出し、それらを回避する能力を有しているとされている。しかし、2015年の研究結果ではヨーロッパの特定のある一種のミツバチはネオニコチノイド系農薬を含むエサを好むことがわかっていた。
そこでLing-Hsiu LiaoとMay Berenbaumは自然界におけるミツバチの嗜好性を知るために実験を行った。9種類の自然発生化学物質、3種類の殺菌剤、2種類の除草剤を含む砂糖液を実験区に入れ、嗜好性にどれだけの差が生じるかの実験である。結果として、どの実験区においても自然に発生するケルセチンを好んで摂取していたことが分かった。また、農薬を一切含まない砂糖液とモンサントのラウンドアップ除草剤を10億分の1含む砂糖液ではラウンドアップ除草剤を含む砂糖液を好んで摂取したものの、濃度が濃くなると回避することも明らかになった。更に、殺菌剤プロクロラズを含む砂糖液は回避したものの、殺菌剤クロロタロニルを低濃度含む砂糖液を好んで摂取するという結果になった。
すなわち、ミツバチは自然発生するケルセチンを最も好むが、ケルセチンを多く含まない蜜源がない場合、農薬や殺菌剤が微量含まれる蜜源に対して軽度の嗜好性を締めることが分かった。
ミツバチはケルセチンを含む蜜源がなくなると、農薬や殺菌剤の影響を受けた蜜源から蜜を集める。更に殺菌剤はミツバチの農薬等の代謝能力を低下させ、本来養蜂家が巣箱内のダニを防除するための用いる殺菌剤が、(代謝能力の低下した)ミツバチにとっては致死量に達する可能性があるとLing-Hsiu LiaoとMay Berenbaumは示唆している。
つまりこの研究によれば、ネオニコチノイド系農薬や殺菌剤などがミツバチの代謝能力を低下させ、その結果ダニ等を防除する殺菌剤などにより死滅する可能性があることを示した。ただし、ミツバチには農薬等を回避する能力を有しており、自然界の蜜源があればそれを優先的に採取するため、常に自然界(農薬や殺菌剤の影響を受けていない野生の)蜜源が重要であることを説明している。
▶2017.08.09
ネオニコチノイド系農薬とミツバチと社会