地球温暖化が続くと穀物(トウモロコシ・ダイズ)収量の伸びは鈍化する
農研機構(農研機構農業環境変動研究センター)は、地球温暖化が進むことで穀物類の収量の伸びが鈍化することを発表した。特にトウモロコシとダイズは2100年までの気温上昇が1.8℃未満であったとしても、収量は鈍化する予測となった。一方でコメとコムギは温暖化の影響は大きく受けないという予測。
世界人口の増加により、2050年には世界の食糧需要は現在の1.6倍に達する見通しであり、今後の食糧需要増加に伴い新しい品種の改良研究などが各国活発に行われている。
食糧需要が高まる中で、ヨーロッパ地域では穀物の収量の伸びが鈍化しており、これには平均気温の上昇が影響していると考えられている。一方で過去にも地球温暖化と穀物収量の関係についての研究は行われてきたが、発展途上国の技術発展などによる影響を加味したものはなかった。そこで農研機構では、それら発展途上国の技術発展(生産技術や品種改良など)と気候変動を総合的に加味した今後の温暖化と収量増加の伸びの関係について研究を行った。
研究の結果、トウモロコシは2100年までに気温上昇が1.8℃未満であっても世界の平均収量(単位面積あたりの収量)は鈍化することが明らかとなった。また2.7℃を超えると、伸びが鈍化するだけでなく収量そのものが減少する。特に2100年までに4.9℃気温が上昇した場合、トウモロコシのそれは1980年とほぼ同じ量にまで減少する。1980年は世界人口が約45億人で、2100年の世界人口は112億人という予測があり、最悪の場合トウモロコシの収量と需要量が会わなくなる可能性もある。
またダイズについても、2100年までの気温上昇が1.8℃未満であった場合でも収量の伸びは鈍化し、2.7℃以上で著しく鈍化、4.9℃以上となると収量そのものが現象へと転じる。
一方でコメ、コムギは2100年までの気温上昇が4.9℃以上となった場合でも多少の鈍化が予測されるものの、ほとんど変化がないという調査結果であった。
今後、農研機構としてこのデータの有用性を認めながら、更に温暖化した場合でも収量の落ちない品種の開発や発展途上国での技術普及支援などを行っていくという。
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