コーヒーかすによる土壌消毒技術を発表

コーヒー

 農研機構はコーヒー粕を利用した新たな土壌消毒技術を開発したと発表した。コーヒーかすと鉄塩から製造した殺菌溶剤を過酸化カルシウムとともに土壌に施用することで、青枯病の発病が抑制されることを開発した。安全で環境負荷も少ないことが特徴で、特に施設栽培されるトマト圃場において効果が期待される。

 施設栽培されるトマト圃場では、青枯病菌によって引き起こされる青枯病の発生が問題になっている。青枯病は、株全体が枯れ収量が激減することから施設栽培トマト農家にとって非常に厄介な病気である。
 また青枯病青枯病菌に対して有効な薬剤はクロルピクリンのような劇物指定の薬剤等に限られることから、環境に優しく、農家の負担も少ない土壌消毒法の開発が求められていた。

 一方、コーヒーかすは国内において年間約60万トン排出しており、その再利用方法の検討も進められている。例えば、コーヒーかすを用いたマッシュルーム栽培なども試験的に行われている。農研機構でもコーヒーかすを使用した土壌殺菌剤を研究開発を行ってきたが、そのメカニズムなど十分に解明されていない部分もあった。

 今回、コーヒーかすに鉄塩(塩化鉄や硫化鉄等)から殺菌溶剤を過酸化カルシウムとともに土壌に施用することで、青枯病の発生を防ぐことを開発した。さらにこれら殺菌剤を土壌に施用すると土壌中にOHが発生し、瞬時に電子を奪い安定化することから、有害物質の発生や拡散がなく作業者にも安全で、かつ環境負荷が少ないことが特徴となる。

 今後、安全に青枯病発生を防ぐための土壌殺菌剤としての効果だけでなく、国内で排出されているコーヒーかすの再利用も期待される。またこの技術は青枯病だけでなく他の土壌病害にも効果を示す可能性があり、改な効果の追求と低コストでの資材開発の研究を進めていく。