6日農研機構は、「きぬむすめ」より収穫期がやや遅い”やや晩生”で多収で西日本向けの新品種「恋初めし」を育成したと発表した。きぬむすめよりも約20%多く収獲ができ、縞葉枯病にも強く、業務用米としての生産流通が期待される。
近年、主食用米の約4割が中食、外食ように販売されており、業務用米として安定して多収であり、かつ食味が良い品種の生産が求められている。今まで農研機構でもそのような業務用米として、「あきだわら」「たちはるか」などの品種を開発してきた。
また、農家件数が年々減少しており、特定の農家に田んぼや畑が集約されている一方、1人あたりで管理する面積が拡大していることから農業生産の効率化が求められている。稲作の現場においては、収穫時期の異なる品種を複数生産することで、1人あたりの生産量を拡大するという方法が広く知られている。その中で西日本では中生の「あきだわら」、晩生の「たちはるか」の収穫時期が異なる2品種が主流であったが、あきだわらとたちはるかの中間「やや晩生」品種の開発が求められていた。
そこで農研機構では多収で良食味の「あきだわら」と、穂いもちと縞葉枯病に強く、良質・良食味の「中国201号(後の「恋の予感」)」を交配し「恋初めし」を開発した。恋初めしは成熟があきだわらよりも5日程度遅く、またたちはるかよりも早いため収穫時期をずらした生産が可能となる。
また、西日本で多く生産されている「きぬむすめ」と比較すると食味も近く良好で、かつ収量は20%程度多くなることが見込まれている。更に、穂いもちに強く、縞葉枯病に抵抗性も持っている。
ただ、高温登熟耐性はやや弱く、白未熟粒の発生が懸念されるため、高温環境下になりやすい地域での栽培にはあまり向かない。また耐倒伏性もやや高いため、極端に多肥になると品質の低下を招く恐れがある。
今後は北陸地域での栽培試験を開始しつつ、西日本での流通を目指していく。
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