19日農研機構は高温登熱耐性品種である「にこまる」よりも更に高温に強い品種である「秋はるか」を開発したと発表した。近年の地球温暖化に対して暑さに強い品種の開発が求められており、「秋はるか」は既存の高温登熱耐性品種よりも暑さに強く、収量も15%程度多い。
近年、地球温暖化の影響を受け「白未熟粒」という玄米が白濁化してしまう被害が特に西日本を中心に拡大している。そのため暑さに強い品種の改良が進められており「にこまる」もまたそのうちの品種の1つである。しかし「ひのまる」のような暑さに強い品種は「トビイロウンカ」の被害を受けやすいというデメリットもあり、暑さに強いだけでなく、トビイロウンカやいもち病、縞葉枯病などの病害虫に強い品種の改良が求められていた。
今回開発された「秋はるか」は早生でいもち病に強く良食味の「泉2121(後の「西海265号」)」と、穂いもち病、縞葉枯病とトビイロウンカの抵抗性を合わせ持つ多収の「泉2507」を交配した品種となる。「秋はるか」は既存の高温登熱耐性品種「にこまる」よりも更に暑さに強く、「ヒノヒカリ」、「にこまる」よりもいもち病、縞葉枯病に強くなっている。またトビイロウンカに対しても抵抗性も「にこまる」よりも強く、倒れにくという特徴ももっている。ただし、白葉枯病にはやや弱い。
食味については、「ヒノヒカリ」や「にこまる」と比較した際にやや劣るものの、にこまると同環境下において同程度の施肥状況では、収量が約15%多いという結果を示しており、低コストで大量生産生産することが可能となる。そのため、安価で流通することが求められる外食産業や中食産業向けの米として利用されることが今後期待される。また、生産において農薬の使用回数を減らしても収量等に大きな影響を及ぼさなかったため、今後低農薬での生産にも期待されている。
現在、佐賀県、静岡県で栽培試験が行われており、今後は西日本など高温傷害の出やすい地域での生産拡大が期待される。
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