株式会社村上農園(本社:広島市、代表取締役社長:村上清貴)は、筑波大学・谷中昭典教授が行うブロッコリー スプラウトに関する研究に助成しており、ブロッコリー スプラウトの摂食が不規則な便通を改善することを、ヒトを対象とした臨床試験で明らかになったと発表した。本研究結果は、日本酸化ストレス学会誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」のオンライン版に、2017年11月3日に掲載された。
■本研究の目的
不規則な便通には、バランスの悪い食生活や精神的なストレスなど様々な要因が関係していると言われている。最近の研究では「酸化ストレス」が便秘の原因になることが明らかになってきた一方で、ブロッコリー スプラウトに含まれる有用成分「スルフォラファン」には、体内の抗酸化作用(酸化ストレスを防ぐ作用)を高める働きがあることが分かっている。そこで本研究では、ブロッコリー スプラウトの摂食が不規則な便通に与える効果について検証した。
■方法と結果
軽い便秘傾向のある男女48名を2グループに分け、1グループにはスルフォラファンを高濃度に含む発芽約3日目のブロッコリー スプラウトを、別のグループにはスルフォラファンを含まないアルファルファ スプラウトを1日20gずつ4週間食べ続けてもらい、便通への影響を調べた。その結果、ブロッコリー スプラウトを食べたグループで、便通スコア※1に低下傾向が見られ、便通が改善することが示唆された。
■谷中教授のコメント
世界中の膨大な数の人々が、日常生活において便通に問題を抱えていると報告されています。便通の問題は、生活の質(QOL)を損なう要因となるため、日々の生活の中で実践可能な解決方法を見つけることが重要です。
これまでに私たちは、ブロッコリー スプラウトに含まれるスルフォラファンの摂取で、体内の抗酸化酵素が増え、抗酸化作用が高まることを報告しています。本研究で、この抗酸化作用が、便秘の原因の一つである酸化ストレスから腸を保護することで、便通が改善する可能性が示唆されました。研究参加者に摂取していただいたブロッコリー スプラウトは1日に20g。毎日の食事に無理なく取り入れられる量です。ブロッコリー スプラウトの摂取は、便通の問題とそれに伴うQOLの低下を、日常生活の中で解決する手段となり得るものと期待できます。
<研究者プロフィール>
谷中昭典 (やなか あきのり)
医学博士・筑波大学 医学医療系 臨床医学域 教授
筑波大学附属病院 日立社会連携教育研究センター (消化器内科)
筑波大学病院消化器内科で治療に携わる傍ら、胃がんや大腸がんなどの予防に関する研究に従事。米国ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士の依頼をきっかけに、スルフォラファンの研究に着手。2009年に発表された、胃がんの原因となるピロリ菌の除菌作用は、国内外で大きく注目された。
■用語解説
ブロッコリー スプラウト
ブロッコリーの新芽(スプラウト)。スルフォラファンを高濃度に含むブロッコリー スプラウトは、ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士が、品種の選抜と育成方法の確立によって開発に成功した。日本では村上農園が同大学とライセンス契約を結び、1999年から生産・販売を行っている。
スルフォラファン
ブロッコリー スプラウトに含まれる有用成分。体内の抗酸化酵素や解毒酵素の生成を促し、がんや様々な疾患への予防効果が期待されている。
酸化ストレス
喫煙や紫外線、日々のストレスなどによって体内で過剰に発生した活性酸素が、細胞やDNAを傷つけ、疾病や老化など様々な障害を引き起こすこと。酸化ストレスは、腸や筋肉の組織細胞にもダメージを与え、それによって排便活動に関わる運動性や腸液の分泌といった腸の機能を弱めてしまうため、便秘などの不規則な便通を引き起こす原因となる。