遊休農地が2年連続減少(耕作放棄地と遊休農地の違い)

遊休農地の画像

農水省の農地法に基づく遊休農地に関する措置の実施状況の結果平成28年の遊休農地は104,155haと昨年の134,835haと約23%減少したと発表した。一昨年から2年連続で遊休農地が減少しており、平成29年より行われている遊休農地の課税強化、農業委員会の地道な声掛けなどの対策が一定の効果があったと見られる。
遊休農地の推移

耕作放棄地と遊休農地の定義

耕作放棄と、遊休農地は下記のように定義されている。
耕作放棄地とは農林業センサスにおいて、「以前耕地であったもので、過去1年以上作付けせず、しかもこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」と定義されている統計上の用語。

遊休農地とは農地法において、
ア 現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地
イ その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し、著しく劣っていると認められる農地(アを除く)
と定義され、農地の有効利用に向けて、遊休農地に関する措置を講ずべき農地のこと。

このような定義に基づき耕作放棄と遊休農地が説明されているが、定義では難しいため下記に少し噛み砕いて説明をする。

先ず耕作放棄地とは農林業センサスにおける統計上の用語とされるが、これは農林業センサスという5年おきに行われる土地所有者に対するアンケート調査である。そのアンケートには畑で何をどれだけ生産しているか?売上がどれくらいであったか?など生産から土地利用に関する質問があり、そのアンケート調査に基づき耕作放棄の面積が算出される。そのため、耕作放棄地たる基準は決まっているものの、回答する農家によって耕作放棄地であるとする基準がまちまちである。例えばある農家では耕作放棄として記録する畑も、ある農家によっては耕作放棄地でないと記録することもある。またこの調査は5年に1回行われるためデータに少し荒い面がある。

一方で、遊休農地は各地域の農業委員会が帳簿を元に管轄内の畑すべてを目視で確認し、畑の状況を判断し記録をしていく。帳簿にはその畑の面積が正確に記録されており、その時の畑の状況を記録していく。この調査は平成22年から毎年行われおり、より正確な実数値となっている。

耕作放棄地と遊休農地の違い

定義は上記のとおりであるが、すなわち耕作放棄地と遊休農地は調査結果の違いであり、2つが区分されるものではなく、中には耕作放棄と遊休農地どちらにも該当する畑が存在する場合がある。これは土地に対する認識が土地所有者毎に異なり、また農業委員会と土地所有者の間でも認識が異なることに起因する。

現在の調査の結果では、耕作放棄は現在約40万ha、遊休農地は約10万haと4倍の差があるが、実際耕作がされていない畑は遊休農地の10万haがより正確な実数値であるとされている。

繰り返しではあるが、耕作放棄と遊休農地は調査の違いであり、数値に4倍以上の差があるが、耕作放棄地が1/4まで減少したとかいうものではない。あくまで調査結果の違いによる差である。

今まで農地法に基づく対策として耕作放棄地は基準となってきたが今後は遊休農地を基準として施策が講じられることとなるが、現在遊休農地は減少しておりそれら施策が一定の効果を出していることが示されている。
耕作放棄地

遊休農地減少のための施策

遊休農地減少のための施策として、課税対象の強化が講じられている。すべての遊休農地が課税強化の対象になるのではなく大まかに下記のようなステップで対象となる農地が決まる。
①土地所有者に対して耕作、もしくは農地中間管理機構への貸付を打診
②耕作、貸付の意思を表明せず、放置する
③放置が続く場合課税の強化対象となる

課税の強化は通常時の1.8倍になり、土地所有者の負担額が増える。
つまり、耕作をしない土地がある場合、貸付をするか自ら耕作をすることで畑を畑として維持することで課税金額を安くしてきたが、それが出来ない場合は最大1.8倍まで課税額を増やすというもの。

今回の調査結果では遊休農地は減少しており、課税強化等の効果があったことが証明された。

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2 件のコメント

  • 高齢化した集落には中山間地直接支払制度がいつまで続くかわからないとゆう危機感を全員で共有したい。特に傾斜の強い山間地から山形の啓翁桜や福島の東海桜に学ぶ、野生的花木種の選択による花木園化への全員一致による「山間地の花木園化」への取り組みに期待したい。粗放栽培で手間のかからない強健な永年性作物を選択し、苗木の新植を急ぎたい。間もなく定植適期がやってくる。野生的樹種の花木園なら県の目利き人指導下で、地域おこし協力隊員の定植、育成作業で樹園地化できる。

  • 耕作放棄地の増加を食い止めるには兼業農家の継承が欠かせない。継承には現経営世代による「継承しやすい農業業態」への転換や選択肢が問われる。継承世代の事情に合わせ、転勤時でもJA等への作業委託費用が捻出できる農業業態への転換が必要です。茨城県奥久慈枝物部会の会員109人の多くが定年退職者であり、定年3年前に苗木を定植しておけば定年後から採取収穫収入がある花桃に着目していることにも驚きです。農業目利き人による「兼業且つ通いでもできる農業業態開発」や「栽培と収穫出荷の分離」に向けた受委託作業範囲の拡大化サポートが求められます。

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