2月9日農研機構はナタネの新品種「ペノカのしずく」を発表した。ペノカのしずくは寒雪害に強く北海道や東北での生育に優れ、油は食用、絞り粕は試料として再利用可能。
ナタネ油は国内消費の約4割を占める最も消費量が多い植物油であり、主に海外産のダブルローナタネが用いられている。国産ナタネは、主産地の北海道を中心に輪作作物や転作作物として作付面積が増加傾向にあるが、主力品種である「キザキノナタネ」は種子中のグルコシノレート含量が多いので搾り粕を飼料として使用しにくいという欠点があった。そのため、海外産原料と区別する必要のない国産のダブルローナタネ品種が求められていた。また、農研機構はこれまでに、東北地域向けのダブルローナタネ品種「キラリボシ」および「きらきら銀河」を育成してきたが、越冬性や菌核病抵抗性が「キザキノナタネ」より劣っていたために、特に北海道での普及が滞っていた。
そこで、寒雪害抵抗性および菌核病抵抗性が「キザキノナタネ」と同程度に強く、収量が「キザキノナタネ」と同程度、既存のダブルローナタネ品種「キラリボシ」より多収のダブルローナタネ品種「ペノカのしずく」を育成した。
ペノカのしずくは種子中にエルシン酸を含まないため、食用油に向いておりグルコシノレート含量が少ないので搾り粕を飼料として利用ができる。また、多収のダブルロー系統「OZ028-2」を種子親、「キザキノナタネ」を花粉親として交配を行い開発された。たくさんのナタネが咲き誇っている様子をアイヌ語で天の川を意味する「ペッノカ」、ナタネ畑からできるナタネ油を「しずく」で表し、「ペノカのしずく」と命名された。
今後は北海道・東北地域において、今後約1,000haの普及が見込まれ、国産ナタネの販路拡大および需給体制の安定化に加えて、新規作付けの拡大が期待されている。また、ダブルローナタネの搾り粕は大豆粕と並ぶ数少ない国産のタンパク質飼料の一つであるため、新たな耕畜連携による資源循環への期待も大きい。
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