農研機構は、食味の良い紫サツマイモ新品種「ふくむらさき」を育成したと発表した。現在主力品種として普及している紫サツマイモ品種「パープルスイートロード」より紫色が濃く、食味も優れていることが特徴。蒸しいもや焼きいもの糖度は「べにはるか」並に高く、しっとりとした食感で、関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の紫サツマイモ品種として普及する予定。
アントシアニンを含む紫肉色のサツマイモは、沖縄県や鹿児島県の島しょ部では「紅芋」として古くから食されてきた。近年では紫芋タルトや紫芋タルトなど沖縄や鹿児島のお土産としての知名度も高くなってきている。
現在、沖縄県を除く地域で食用として最も普及している紫肉色のサツマイモ品種は「パープルスイートロード」という品種であるが、黄肉色のサツマイモ品種に比べると食味の評価が低いことから、食味の良い紫肉色のサツマイモ品種を求める生産者および実需者の声が高まっていた。
そのような背景を受け、農研機構では、黄肉色サツマイモ系統「九系255」と、「パープルスイートロード」を交配し、「ふくむらき」を品種開発した。ふくむらさきはパープルスイートロードよりも紫色が濃く、焼き芋にした場合、パープルスイートロードよりもしっとりと、甘さや食感が優れることが特徴。
ふくむらさきの由来はその美味しさで食べた人を幸福な気持ちにすることができる紫サツマイモであることを表している。今後は茨城県など関東を中心とする青果用サツマイモ産地において、良食味の紫サツマイモ品種として普及する予定で、2019年の春から、民間種苗会社などを通じて苗が供給される見込み。
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