農研機構は18日農地の生物多様性を保全するための技術・手法を開発したと発表した。また、鳥類などを指標に生物多様性の豊かな水田を判定する新手法を開発し、調査・評価マニュアルとして公開した。
農業は生活資材を生産するだけでなく、農地やその周辺における生物多様性の保全を含む多面的な機能を有している。そのため生産性の向上性や食味の向上だけでなく、生物多様性など環境にも配慮した農業が求められている。そこで農研機構を中心とした研究グループは環境負荷の低い農薬の使用や、果樹園での下草刈り技法、水田における小水路や畦畔(けいはん)の管理方法を開発した。これらの環境に配慮した取組による生物多様性の保全効果を客観的に評価する方法として、サギ類などを指標に、生物多様性の豊かな水田を判定する新手法も開発した。この評価法では、指標生物としてサギ類やその餌となる魚類、クモ・昆虫類などを選択し、それらの個体数・種数をもとにスコア化し、総合判定することが可能となる。
また農業者や自治体が環境に配慮した農業を実践し、その取組による生物多様性の保全効果を客観的に評価することに寄与し、環境に配慮した農業の生産物であることを科学的に示すことにより、農産物の付加価値の向上、ブランド化にも貢献する。農地の管理技術については事例集を、生物多様性の豊かさを評価する手法については調査・評価マニュアルを公開しました。事例集及びマニュアルは、農研機構のウェブページからダウンロードが可能。
農業に有用な生物多様性を保全する圃場管理技術事例集
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/laboratory/nifts/080361.html
鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/laboratory/niaes/manual/080832.html
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