平成28年度松くい虫被害は9%減少、ナラ枯れ被害は微減

松林の写真

 27日、林野庁は国内の所要な森林害虫被害である松くい虫被害量とナラ枯れ被害量を発表した。その発表によると松くい虫被害量は昨年よりも被害量は4万1千㎥減と約9%減り、ナラ枯れ被害量は昨年から1千㎥減とほぼ変わらない結果であった。

 松くい虫被害量は全国的に約9%減少し、平成28年の数値は被害量が最も多かった昭和54年の約1/5程度となっている。都道府県別に見ると青森県と佐賀県、長崎県では昨年よりも被害量が増加したものの、他の都道府県については7都道府県が微増となり、それ以外は減少したと報告されている。

 松くい虫被害はマツノマダラカミキリにより運ばれる、マツノザイセンチュウがマツの樹体内に侵入することにより発生する病気で、8月から徐々に葉が枯れだし、一気に赤褐色の葉色に変わったり、徐々に黄色を経て赤色になったりするなど、変化には多少の差がある。この病気は日本では昭和30年頃に初めて症例として報告されており、アメリカから来た荷物の中にマツノマダラカミキリがいて、そこから国内に広がったと推測されている。昭和54年が最も被害量の多かった年で、今まで西日本のみで確認されていた松くい虫被害が東日本でも確認されるようになった。しかし昭和54年以降様々な対策が施され、松くい虫被害は年々減少している。
松くい虫の被害量の推移

 ナラ枯れ被害量は昨年から1千㎥減とほぼ変わらない数値となっている。都道府県別で見ると岩手県、新潟県、奈良県、広島県の4県で大きく被害量が増加し、それら4県を除く7県が微増となり、他の都道府県は減少となった。

 ナラ枯れ被害は、大量のカシノナガキクイムシが、ナラ・カシ類の樹幹に穴を開けてせん入し、体に付着した病原菌(ナラ菌)を多量に樹体内に持ち込むことにより発生する。ナラ枯れが発症すると通水機能が阻害され水不足となり枯死する。

 林野庁は全国的には松くい虫被害、ナラ枯れ被害どちらも減少傾向にあるが、都道府県別では増加している県も存在し、引き続き継続的な被害対策を講じることを推奨している。
ナラ枯れ被害量の推移