農業ICTベンチャー 農業情報設計社が第三者割当増資を実施

トラクターの自動運転

 株式会社農業情報設計社(以下、 「農業情報設計社」)はこの度、 第三者割当増資を実施し、 株式会社農林漁業成長産業化支援機構、 千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合、 千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合、 株式会社DGインキュベーション、 株式会社D2 Garage、 住友商事株式会社計6社は、 総額2億円を出資したと発表した。
 農業情報設計社は、 農業における情報通信技術の利用と農業機械の自動化・情報化に係る研究開発と知見の提供に取り組んでおり、 これまでに、 トラクター等の運転支援アプリの開発、 配布・販売を実施してきた。

 農業情報設計社は、 この運転支援アプリに対応するGNSS 装置、 自動操舵機器(併せて「直進・自動操舵装置」という)の製造・販売を新たに行う。 これは、 既存のトラクターに取り付けることで、 トラクターの位置と方向の把握・表示、 自動操舵によって、 直進運転をアシストする装置。 これにより、 目印のない広い圃場でも真っ直ぐ・等間隔に作業することが可能となり、 作業の効率化・負担の軽減が図られる。 また、 圃場内の重複作業や作業漏れによる肥料・農薬散布の無駄・ムラを防止し、 資材コストの低減を図る。

 農業情報設計社は、 今回の資金調達により製造・販売体制を強化し、 装置の早期の普及を目指す。 将来的にはトラクターに繫いで施肥や播種、 薬剤散布等を行う作業機(アタッチメント)との動作連携も図ってより精密な作業を実現していくとともに、 海外市場での展開も進めていく。

 株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、 農林水産省及び経済産業省から農業競争力強化支援法に基づく事業参入計画の認定を受けた農業情報設計社への出資を通じて、 先駆的なICTによる高精度農業の普及や、 低価格な「直進・自動操舵装置」の普及、 農業者の作業負担や資材コストの低減に貢献。 また、 国内の農業生産者がスマート農業の優れた知見を採用し、 省力化・効率化を実現することで、 国際競争力の向上を支援している。

 千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合、 千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合(Drone Fund)は、 ドローン前提社会の実現を目指し陸・海・空のドローン・スタートアップ企業に投資を行っている。 日本は生産年齢人口の減少や、 気候変動、 大規模災害のリスクなどに直面。 こうした中で、 現場における負担を軽減するためには、 農業分野の自動化は不可欠。 農業情報設計社の価格優位性のあるプロダクトは、 同分野で世界の市場を取りに行けるポテンシャルがある。 Drone Fundとしては、 今後のデータ活用や、 PR活動など積極的に支援を行う。

 株式会社DGインキュベーション(デジタルガレージ子会社)及び株式会社D2 Garage(デジタルガレージ・北海道新聞によるJV)は、 デジタルガレージグループ・北海道新聞社のリソースを活用したメディア発信等を通じ、 農業情報設計社が目指す高精度農業の普及に向けた活動を支援していく。

 住友商事グループと農業情報設計社との協業は、 農業用ドローン開発・製造会社 ナイルワークス社への出資、 水位センサーを含む農業ICT通信に関わるインターネットイニシアティブ社との業務提携に続く、 水稲向け先端農業パッケージの第三弾です。 住友商事グループは、 肥料、 農薬、 農業機械、 食料等の農業周辺ビジネスを世界44カ国でグローバル展開。 引き続き革新的な技術を保有する企業への投資を通じて、 社会のニーズの変化を捉え、 世界の産業発展に寄与していく。

トラクター運転支援アプリの実証実験の風景。
製品1. 運転支援アプリAgriBus-NAVI (配布、 販売中)
スマートフォン等にインストールして使用。 トラクター等の現在位置と基準線を画面表示して、
タブレット端末に映し出される軌跡を見て、 重複部分が確認できる。 圃場内の直進作業をアシストする。
トラクターの自動運転

製品2. GNSS装置 AgriBus-G+ (開発中)

GNSSと3G無線モジュールを搭載する通信機能ボックス。 安価で多機能な利用が可能。 製品1のAgriBus-NAVIと併用することで、 より精度の高い位置情報を利用可能。

製品3. 自動操舵機器 AgriBus-AutoSteer (開発中)
ステアリングを電動モーターにより駆動する装置であり、 製品2のAgriBus-G+と接続することで、 運転者が直進作業中に操舵を行うことなく走行可能。 作業の仕上がりや作業機の状況を把握しやすくなる等、 運転者の負担を大幅に低減するほか、 経験の浅い農業者でも広い圃場で真っ直ぐ等間隔に作業することを可能とする。