今回ご紹介するのは、創業61年になるダイオ化成株式会社さん(以下:敬称省略)。
ダイオ化成は1956年に、日本初の合成樹脂製の網戸用防虫ネットメーカーとして創業し、以後はネットの専業メーカーとして培ってきた技術、ノウハウを活かし様々な商品を生み出している。そのダイオ化成の想いや商品について話をうかがった。
お客様と共に磨き上げてきた技術
ダイオ化成に1956年創業し、世界初となる合成繊維の防虫網を開発した。当時は金網の網戸や蚊取り線香、蚊帳などによる防虫が主流であったが、防虫ネットを用いた網戸を用いることで、虫の侵入を防ぎ、風や日差しなどを取り込み快適な環境を創造する商品を生み出してきた。創業以来、国内工場で商品を製造してきた。国産というと食品だけでなく良いイメージがあるが、国産だから良いということだけではなく、ダイオ化成の製品の品質が良いと言われるのには、創業当初から製造の難しい網戸用のネットを供給していたことが関係している。
たとえば網戸用のネットは新築住宅にも取り付けられる物なので「高価な住宅の一部」としての品質が必要となる。その為に網目の大きさが均一でなかったりするのはもちろん、目視検査で全く問題が無くとも網戸に張ってみると光線の具合で急に目立ってしまうような些細な欠点箇所までを厳しく管理する必要があり、必然的に単純な製品ながらきわめて高い技術水準を求められる事になる。こうしてサッシメーカーさんをはじめとするお客さんからのフィードバックを受け技術を改善してゆくことで、現在の高い専門技術の礎ができ、今の品質に至ったのだと言う。
創業当初から想いは同じ
国内生産にこだわり、サッシメーカーと歩んできた歴史に裏付けされた高い技術力を誇るダイオ化成。そんなダイオ化成の想いは創業当初から変わらず同じであり、それは「快適環境創造企業」である。防虫網にしても、ただ虫の侵入を防ぐだけでなく、風を通し、日差しを取り込む、人にとって快適な環境を創造してきた。更に、虫の侵入を防ぐということだけであれば殺虫剤などの殺生をするということも手段としてはあるが、防虫網により人との住み分けをすることで、虫にとっても殺されることはない、つまり人だけでなく虫にとっても快適な環境を創造してきたのである。
担当者は、「虫がいる事自体が悪ではないんです。人の住環境に虫が入って来るのが厄介なだけであって、それを住み分けしてあげましょう。ということなんです。」と話す。
想いから生まれた虫イヤテープ
快適環境創造企業として様々な商品を生み出してきたダイオ化成。その快適環境は人だけでなく虫にとっても快適環境も創造してきた。
そんな想いから生まれたのが「虫イヤテープ」である。虫イヤテープは、株式会社ニックスが提供する安全性の高い薬剤徐放技術を採用する事で内部に含まれた虫の嫌がる薬剤を長期安定して放出し、この機能により虫(歩行虫)の侵入を抑制する事が出来る製品である。
虫の侵入を防ぐには、噴射式の殺虫剤など虫を死滅させるものが多いが、殺すのではなくそもそもの刺入を防ぐ、もっと言えば虫と人間の住環境を住み分ける新しい価値観を提案する商品である。
「虫を殺すのではなく、虫を遠ざけるという、虫にも優しい商品です。」と担当者は話す。また商品として薬剤が含まれるが、虫にとって致死量に至るほどの量の薬剤は含まれず、あくまで「嫌がる」程度の微量であるためペットや小さな子どもにとっても影響は少ないという。
このように一般的に防虫というと「虫を殺す」ということが一般的であるが、それには一定量の薬剤が必要となる。そこで嫌がる程度のわずかな量に抑えることで、殺すことなく、そして人、ペット、小さな子どもにとっても影響しにくい快適な環境となるのである。まさに「快適環境創造企業」の精神が具現化した商品である。
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農家を助ける防虫ネット
ダイオ化成は防虫ネットを作ってきたノウハウを活かし、虫イヤテープだけでなく、畑で使用するプロ(農家)向けの防虫ネットも製造販売している。網戸の網を作ってきたことから、網目の細かさなど、そこはダイオ化成のノウハウが活かされていることは言わずもがなであるが、そこにもダイオ化成の想いが込められている。
「農業資材を製造する際には、もちろんのことながら農家さんの役に立つ商品を作りたいと思っています。我々の商品を使用することで収量や売上が上がったよと言われるような商品にしたいというのが想いです。一方で、環境創造企業という想いが大前提にありますから、虫を殺さないということもそうですが、我々のネットを使用することで殺虫剤や農薬の散布量が減り、畑の環境や、強いては自然環境に対しての影響も軽減できれば嬉しいと思っています。」と担当者は話す。
近年、減農薬やオーガニック野菜などが注目を集めており、人体に対する影響を懸念する声と、農薬や殺虫剤、殺菌剤の自然環境に与える影響を危惧する声がある。農薬や殺虫剤を減らすことがイコール人体にとって健康的あるということではないが、少なくとも農薬や殺虫剤の使用を減らすことで自然環境への負荷は軽減される。
このように、ダイオ化成は快適環境創造企業として、人や虫など目に見える身近な葉にだけでなく、自然、更には地球という大きな環境をより快適にしている。
更に快適な環境を目指して
快適環境創造企業という想いを虫イヤテープ、農業資材など様々な商品に具現化してきたダイオ化成。今後もプロ向け、一般向けに限らず様々な商品を生み出していく。今後どのような商品が出てくるのか少しだけ担当者に聞いた。
「まだ具体的な話にはなっていませんが、現場の農家さんからは地球温暖化対策向けの商品を作って欲しいという声が上がっています。」と教えてくれた。
地球温暖化に伴い、畑環境は少しずつ変わってきて今まで東北で見られなかった虫が発見されたり、国内で生育できなかった動植物の繁殖が確認されたりしている。そういういった環境の変化に対応した商品、例えば強い日差しに対応できる遮光ネット、新しい虫を防虫する防虫網など、地球温暖化に対応する商品が今後ますます求められてくるだろう。そんな中でダイオ化成は常に「快適環境創造企業」として日々変わりゆく環境変化に対応しながら、より快適な環境を創造、提案していく。
編集部後書き
今回、ダイオ化成さんの担当者2人にインタビューを行った。「環境創造企業」としての想いを、培ってきたノウハウを活かし次々と具現化していく事業展開は純粋に凄いと思った。更に、人にとっての快適さだけでなく、虫や動物、そして自然環境にとっても快適なものであるという商品ラインアップは、日々刻々と変化する環境、農業界において重要な考え方なのかもしれない。
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